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日本人とは何か

第6回 北京から日本人を考える

公益財団法人東京財団
上席研究員
小松正之
2016年3月17日

北京と日本学

2月下旬から1年ぶりで北京に行った。北京大学大学院、北京外国語大学と清華大学での講義が目的である。

ところで1895年の日清戦争で清の改革が必要との考えが広く力を持ち、康有為と梁啓超らが「維新変法」を唱え、光緒帝を立てて清朝を改革しようとした。光緒帝の政治改革は、守旧派の西太后により阻止され、教育改革だけが実行された。1898年12月に東京大学など日本の大学制度に倣った北京帝国大学が発足した。

北京日本学研究センター(北京外国語大学)と現代日本研究センター(北京大学)はより高いレベルの日本学と現代日本研究を目指す学生を支援している。

大平正芳元首相が1972年9月の日中国交回復に貢献したことを契機に作られた日本学研究のプログラムである。北京日本学研究センターの1階は、大平正芳元首相の書籍や遺品を展示してある。


学生の意欲の変化

北京大学の日本学を学ぶ修士と博士大学院生は、20名中の8割が女子学生であった。前回から男子学生が過半を占めた。本年は約40〜50名が私の授業を聴講して、質問も活発であった。

  1. 普段は学生は忙しいので土曜日と日曜日の二日間にし、受け易く併せて一般社会人の参加を容易にした。
  2. 本年は私の講義のうち「リーダーシップと改革論」に多くの関心を引いた。ある参加者は、「中国の社会での就職は国営企業が中心で、就職の面接の際にリーダーシップの強調は、就職に不利ではないか」との質問であった。

もっともである。私は「中国も労働生産性から付加価値向上型の投資へ。消費社会へ、環境の改善に配慮した企業へ。透明性と説明責任を果たす政府の変革を必要とし、中国社会も改革とリーダーシップを発揮できる人材の必要性が今後増大しよう。」と説明したら頷いた。

財政、社会保障、エネルギー政策と農林水産政策の改革を先送り、日本こそ改革が必要である。


日本研究と関心の高さ

北京外国語大学は、前身が1941年に設立された抗日の語学学校である。1949年中華人民共和国の成立とともに外国学校と合併し、北京外国語学院となる。1951年に北京ロシア語学校を吸収合併し、1994年に北京外国語大学に名称変更した。

北京外国語大学では、日本学研究センターの宋金文先生の社会学コースの学生に講義をした。彼女ら学生の関心は、日本の社会の「高齢者の犯罪、貧困と孤独」と「若者の就職難、貧困」である。日本の女性の社会的な地位についても関心が高い。いずれ中国社会の問題となることが明らかで、日本から学びたいとの意識が強い。

また「日本人の中国人の評価」に関心があり、日本に関する関心は非常に高い。


名門清華大学と日本学

キリスト教の布教など西洋の浸透に対する反抗から山東省で義和団の蜂起がおこり、それを日米など8か国が鎮圧した。賠償金を各国は清朝から得た。米国はセオドア・ルーズベルト大統領が「中国の近代化に必要な人材育成のために使ってほしい」と賠償金の1100万ドルをすべてこの条件付きで清国に返還し、その資金で1911年に設立されたのが、清華大学である。この大学は米国式の制度と教授法を取り入れた大学である。卒業後アメリカ留学し立身出世の道が開かれた。要人を輩出する。朱鎔基元首相、胡錦濤前主席、習金平主席である。

清華大学の李廷江教授と劉暁峰教授のご支援で講義をすることとなった。清華大学の優秀な学生の前で講義でき大きな喜びだった。「日本捕鯨の歴史と最近の国際情勢」について話した。学生たちはこの話は全く初めて聞いた由。また、劉教授は清華大学での日本学研究コースを設定するご苦労を語った。


相互交流が重要

日中間は、政府と政治のこじれた関係が前面に出るが、表面には出ないところに、両国の関係を支える多くの中国人の知識階層がいる。そのほとんどが日本に愛着を有する。日本人も一般的、社会的と学術的交流を増やすことが大切である。隣人である中国と中国人を通して日本と日本人が見えてくる。



北京大学大学院学生と筆者(右3人目)2016年2月


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