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日本人とは何か

第19回 捕鯨の外交に見る日本人

公益財団法人東京財団
上席研究員
小松正之
2016年12月8日

後退の道をゆく日本

2016年10月24日から28日までスロベニアのポルトロージュで第66回国際捕鯨委員会(IWC)総会が開催された。IWC総会の開催を2年に一度の開催に妥協し、沿岸捕鯨の再開提案もせず対立点を放棄し、IWC総会の雰囲気が穏やかになったと日本代表団は語るが反捕鯨国から笑われる。

今回も鯨類捕獲調査を制限する決議が反捕鯨国の数の力(賛成34対反対17棄権10票)で可決された。


国際司法裁判所(ICJ)敗訴原因は日本の自滅

2014年3月30日国際司法裁判所(ICJ)は捕獲数を縮減した日本の鯨類捕獲調査は「科学目的」でないと認定した。日本は鯨肉が売れないため850頭のミンククジラのサンプル数に対して、シーシェパードの妨害を安易な口実に、捕獲頭数を約100頭まで縮小した。これでは統計的に有意な考査結果がもたらされない。結果、ICJで豪・ニュージーランドに敗訴する失態を犯しました。自滅だった。ICJもおかしな裁判所だ。サンプル数を大幅に下回って捕獲していて、何の商業性もないものを、理由説明もなく商業捕鯨と認定した。更にIWCが今も違法に保持する商業捕鯨のモラトリアム(一時停止)条項を適用し、調査捕鯨を中止せよとの珍判決を下した。

日本は判決が下る前は、勝訴すると自信過剰だった。裁判対応を見ると主要な証言を外国人の弁護士と科学者に任せた。自立心のなさだ。理不尽な判決には抗議もせずに、判決後は過剰に委縮した。


狭隘な目的の調査計画

日本政府は、過剰反応をし、昨年から新南極海捕獲調査のザトウクジラとナガスクジラを調査対象から外しミンククジラに絞り、捕獲数を935頭から333頭の3分の1に大幅に縮小した。本年は11月18日に出港した。昨年、ミンククジラを獲るのに力を入れ過ぎ、クジラの密集海域で捕獲に専念し科学調査の目的からほど遠い結果に終わった。

11月8日に、日本政府は北西太平洋の調査捕鯨計画もICJの判決に過剰反応し、じり貧の削減計画を策定しIWCの科学委員会に提出した。20万頭と資源量が大きいマッコウクジラを外し、対象から外したニタリ鯨も生息数は2万頭で安定し、中西部太平洋まで入れれば6万頭以上は生息する。この海域は日本のカツオ・マグロ漁業にとっても重要で、最近カツオの日本近海での資源悪化は日本漁業と食の供給にとっても大問題なのに、これらを調査対象から外すとは政策的な誤りだ。


腹が据わらない日本政府

世界の海域で鯨類資源は豊富に存在する。これら科学データを基に捕鯨再開に打って出ればよい。自国の責任で200カイリ内に於いて、持続捕鯨を再開することだ。反捕鯨国が事実上2倍の参加国数を占めるIWCでは4分の3の多数を獲得しての捕鯨再開は不可能だからだ。

税金が給料で結果に責任をもたず、生産性を上げようともしない。末端の人々の生活にも配慮しない。補助金が投入される外郭団体「共同船舶と日本鯨類研究所」は、最近補助金を得て「ゆとり」が出来たら給料を元に戻した。高くなった鯨肉の出荷価格は補助金を充て下げようとしない。

消費がなくなれば捕鯨のニーズもなくなると語る役人がいる。

天然の資源で、餌もいらず、生態系をかく乱することもなく排泄物で地球を汚染することもない生物である鯨肉を食することは地球環境保全・保護にも役に立つ。かわいい、頭がいいだとの感情論に負けて、今の日本は海洋生物資源・食料政策の根本的方向を誤っている。

地球環境と日本の将来を思うなら、最大懸案の海洋の地球温暖化の影響を含め、捕鯨再開を一つの目的としつつ、漁業資源との関係を解明する総合生態系環境調査を設計し実行するのが当然の責務・義務であり、海洋国家日本の権利であろう。政府科学者、行政官も国会議員も迫力と熱心さに欠ける。

米国次期大統領ドナルド・トランプ氏の父フレッド・トランプ氏は「10人中9人が自分の仕事が好きではない。そのような嫌々している人は仕事に情熱を持てない。そして、それは無に帰する」(著者訳;下写真)と語る。(「Trump Revealed」(Scribner社 2016年)52~53ページ)



標記の著作の表紙;2016年


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