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日本人とは何か

第26回 日本人は自然の破壊者か

公益財団法人東京財団
上席研究員
小松正之
2017年6月22日

自然を大切にした日本人

1982年エール大学に留学していたころ、そこで紹介された、日本の自然と日本人の心では、日本人は自然を大切にする民族で、その証拠は神社や仏閣のそばの鎮守の森であるとの説明と映像が流れ、印象に強く残る。

農業人口が日本全体の半分を占めていた明治時代と大正期までは「その通り」であったかもしれないが、現在はそれが当てはまるとは思えない。陸前高田市や大船渡市にこの2年間毎月のように気仙川広田湾調査プロジェクトの現地調査で往来をして、気仙地方(陸前高田市、大船渡市と住田町)の森林と河川と海浜がその姿をとどめなくなっているのである。

森と川と海をコントロールする。すなわち、保護して、後世まで、伝承するのも人間であるし、これを短期的で目先の利益とわがままで、破壊するのも人間である。日本人とはいったい何であろうか。


京都大学の「森里海連携」

1月11日京都大学フィールド科学研究センターの「森里海連携」について教示を受けた。

私は2015年4月から陸前高田市と住田町の気仙川水系と広田湾で「森川海の連携」プロジェクトを実施中だが、京都大学のフィールド科学研究センターもこの連携を取り扱うプロジェクトを実施している。

私達のプロジェクトは、陸前高田と住田町の自然について知り、人の生活がどのように絡み合っているかを知る基本から始めている。

京都大学の「森里海の連携」は里には人の要素が入っている。しかし、私たちのプロジェクトにも人間活動が重要な要素として入っている。だから「森川海と人」というタイトルを付けた。最も制御するべきは人間の活動であるとの京都大学の主張は至極もっともだ。


住田町の「森の案内人」

住田町種山高原では「森の案内人」講座がある。これは、住田町が林野庁からの出向者のアイデア・協力と歴代町長の卓見をもって発足させた素晴らしいプログラムであり、そこの修了生がまた、現在の案内人と講師を務める。自然に関心のある人たちが、自然を学ぼうとして、積極的に参加している。

「森の案内人」講座でも、森と林だけでなく海と川を学ぶことに熱心な参加者が多く、関心も高い。来年からは私たちの気仙川・広田湾基本調査・メンバーが海と川も教える予定だ。


英国首相と人間哲学

ひとつひとつの要素と全体の関連の重要性は自然生態系だけでなく人間の社会にも政治にも当てはまる。

数年前に東京大学でエール大、東大、シンガポール大と豪国立大など世界の10大学の連携の会合があった。その折に、英オックスフォード大教授は「オ」大から歴代26名の首相を輩出したが、そのうち23名は大学の学部か大学院課程で哲学を修めたとのことだ。哲学とは、全学問を広く網羅し、人間の生きざまを教える。まさに自然科学の「森川海と人」を全て束ねた学問をし、併せて彼らは、専門の経済学、法学や物理学を習得した。日本では哲学を専攻した首相はいないと思う。忖度だけで中身と哲学がないことに飽き飽きする。


現在の日本人は自然の破壊者か

同様に林業、農業、畜産業と水産業を広く横断的に理解すると、むしろ自分の専門・職業が深く理解される。海を深く理解するために、「森川海と人」の連携を理解することが役立つ。

高田松原の巨大な河口堰と堤防は、物理的な防災だけをみた構築物である、海や干潟との調和や上流や森の保水力をみていないし、地球の地殻変動を考えれば、堤防の高さ12.5メートルの地盤沈下は長い目では確実に起こるし、巨大な津波は141年間に明治29年(1896年)、昭和8年(1933年)と平成23年(2011年)の3度も襲来した。また、確実にやってくる。12.5メートル堤防では到底防げない。

そして構築物が「自然や人間の生活の場を破壊」している。広田湾三日市干拓地堤防の外側の海は澱みが目に見える。わたしたちは日頃自然全体との調和の中で生活している。自然の力で防災と減災するスミソニアン環境研究所長ハインズ氏の話を聞きたい。



虹が架る広田湾三日市・米が崎沖いかだ式カキ養殖 2016年11月 著者撮影


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