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日本人とは何か

第31回 死ぬまでに一度訪ねたい国フェロー諸島
元気なフェロー人と衰退する日本人

公益財団法人東京財団
上席研究員
小松正之
2017年9月20日

人口増加と産業の振興

フェロー諸島はデンマークの海外自治領である。その人口は2006年に48000人であったが、現在は約50000人で緩やかに増加している。羊の数は人口の2倍あり、フェロー諸島とは羊の島との意味である。産業は水産業が最大でGDPの20%をしめ輸出の95%を占める。天然の魚を漁獲する漁業と大西洋サケ養殖の比率が半々である。しかし、養殖業の規模の拡大が急速でウェートが大きくなっている。

次の産業が観光業で、フェロー諸島への航空便アトランチック航空の機内誌ではフェロー諸島への訪問は人々のBucket List(バケツに入れるリスト;死ぬ前にやっておくべきこと)に入るもので、訪問すべき土地とアピールする。

訪問者はトレッキングや海上のフィヨルド巡りを楽しむ。高台からみるフィヨルドの景色は絶景である。瀧状の小川は至るところに見られる。羊が道々を丘の斜面にたむろし、常に道にはみ出してくる。自動車がよけるしかない。すべての羊には標識がついて所有者がわかるようである。自動車にはねられる事故もある。


発達する島と島のトンネル

フェロー諸島西側のバガール(Vagar)島にある空港からタクシーで45分から1時間の首都トルスハンのホテルに滞在した。ホテルがある島はステロイモイ(Streymoy)島といい、フェロー諸島最大の島である。コペンハーゲンから乗った飛行機内誌地図によると空港とホテルのある島が離れて、どのように行きつくのか心配であった。スチュワーデスに聞くとタクシーかバスで約45分で着くという。コペンハーゲン空港の待合で知り合いになったアイスランド漁船長をしているフェロー諸島人男性「ヤン」がタクシーの手配をしてくれた。乗り合いで時間がかかり、我々の一行3人とも一人6000円程度の料金を取られた。

バガール島とステロイモイ島、そして、ステロイモイ島とエイストロイ(Eysturoy)島との間も海底トンネルで連結される。その料金は前者のトンネルで約400円であり、自動車のプレートナンバーをトンネル内の施設が自動的に識別し、請求が来る。この料金は、島内を頻繁に移動する者には高いが割引もない。


フェロー諸島とゴンドウクジラの追い込み漁

私には、フェロー諸島の人たちとは随分長い付き合いがあった。それは国際捕鯨委員会(IWC)でのことである。フェロー諸島はゴンドウクジラの追い込み漁が盛んであり、16世紀にも捕獲があったとの記録がある。我々は追い込み漁の入り江を通り過ぎた。

ゴンドウクジラは国際捕鯨委員会では小型鯨類の扱いで、大型鯨類のみを対象とするIWC条約の対象外である。日本のイルカ類についても同じことが言える。和歌山の太地などでバンドウイルカなどの追い込み漁が行われるが、フェロー諸島もそうであるように各国政府が自国の責任で資源評価を行い資源量が持続的に維持できる範囲で捕獲枠を設定している。

厳寒の土地が荒涼とした農業に全く適さないフェロー諸島、アイスランドやノルウェーは海の資源にその食糧を頼ることは当然である。それを大規模に石油から製造された化学肥料や、河川・地下水を大量に非持続的に使い栽培した大豆やトウモロコシで成長させた牛や豚を食べることを人類はいつまでできるのか、どちらが人間としてすべきことか。それに比べればフェロー諸島、アイスランドやノルウェーの捕鯨は、調和した環境保全産業であり、食である。

シーシェパードやグリーンピースなどの環境団体は堂々と誤りを犯している。これにフェロー諸島の政府と人々は説明し反論をする。一方和歌山県太地ではどうか。日本政府が積極的にシーシェパードや環境団体に対峙し反論したとは聞いたこともない。ただ太地の人と民間の対応に任せて、政府として積極的な情報発信をしていない。条約上も科学的にも根拠があるものを自分の意見として発信出来ないとは、日本人とは何であろうか。



フェロー諸島最大の市街トルスハン市


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