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日本人とは何か

第40回 豪大保礁の破壊

公益財団法人東京財団
上席研究員
小松正之
2018年2月28日

日本列島に匹敵する大保礁の破壊

2月に豪へ行ってきた。日本人にも新婚旅行先として馴染みの深いグレートバリアリーフ(GBR)は全長2300キロ、総面積が348000平方キロに及びほぼ日本列島の長さと総面積に匹敵する広さを有する。3000のサンゴ礁、600の島と1625種の魚類が生息する。1981年には世界遺産に登録された。

1998年以降白化現象が多発し、サンゴ礁は2015年と2016年で50~60%を失った。2017年に20%を喪失し、残るサンゴ礁は20~30%である。今後2050年では3%しか残らないという。


原因は人間由来

サトウキビの過剰な肥料と除草剤、澪堀・海底土壌の掘削、牧草地と牛の放牧、沿岸域の開発と、地球温暖化などが原因である。オニヒトデによる食害も甚大である。

豪政府は2015年に「リーフ2050年長期持続性計画」を作成し、2050年までには集水流の中に含まれる汚染物質や過剰栄養物質を2015年の50%と窒素化合物80%の削減目標を掲げた。また、2025年までには汚染物質の流失量20%削減を目標とした。


土地利用の変更と生態系の破壊

1890年代のクイーンズランド州の土地の状況、植物相や海岸と汽水域の状況は現在とは、全く異なる。サトウキビ畑や牛の放牧用の草地ないしは沿岸域の居住地はほとんどなく、熱帯雨林や森林と自然の草地があり自然の生態系が維持されていた。GBRは陸上の生態系と海洋の間のバランスで長い年月で形成されてきた。

1940年代となると、熱帯雨林と原生林が伐採され、平地には居住地や道路が出来て、沿岸域が開発された。伐採後、サトウキビと牛の放牧の農業に利用され、また、沿岸地区で船舶の停泊地や居住地の為の開発も進んできた。


生態系変遷調査

GBR研究所が生態系と土地利用の変遷研究を進めた。この成果は土地の生態系と利用の変化の結果がGBRのサンゴ礁の喪失の因果関係を示したことである。

クィーズランド州政府に残っている過去の土地利用と植物相の情報を入手して、これをマップ(土地利用・生態系地図)に落とし込む地道な作業である。

また、この地図をもとにしてGBR研究所が繰り返し科学者、行政と政治家並びに市民にも説明し理解者と協力者を増やした。科学者も、他の研究分野に関する興味を持たないのが、全体的地図は科学者も結び付けた。


東日本大震災後の生態系破壊

日本人は何をしているのか。日本では、豪のような研究も環境への配慮も行われていない。例えば、岩手県陸前高田市と住田町を流域とする河川からの砂利の採集したところも地ならし程度か砂で隠した程度である。また、土砂を採集した森林地区は、樹木を植えなおしたり、最低限草地を造成したりの欧米諸国が行っている環境修復は一切していない。巨大堤防建設の環境影響評価も実施していない。豪では到底有り得ない。米スミソニアン環境調査研究所長も昨年同様の意見を表明した。自然を大切にしてきたと言われてきた日本人が、最近では世界にも劣る。

陸前高田市街地と気仙川の流域の大堤防や盛り土と嵩上げは市内や近隣の森林を切り崩し持ってきたが正確なトレースが重要で、海洋に土砂が流れ込み海洋生態系とカキやホタテとホヤの養殖生産の減少が懸念されるだけでなく、重金属(水銀やカドミウムなど)含有量も確かめるべきである。また、100年前の生態系、土地利用と植物相と海域の状況などを調べ丹念に地図に落とし込み、土地利用と生態系の変化を知る作業が重要である。過去と現在の日本・日本人を比較する作業にも似る。


7年後に天然シロサケがいなくなる?

最近30年間で、日本にはシロザケ29.6万トンが回帰していたが2017年では7万トン程度に落ち込んだ。単純計算で7年後に日本にはサケがいなくなる。これは針葉樹の植林と河川工事と砂防ダムの建設に加え東日本大震災後の陸上生態系の破壊が大きい。陸上復興工事を含め陸上と海洋生態系の破壊を止めることの検証に日本は早急に取り組むべきである。

自然と生態系の保護にもっと責任を持った日本人でありたい。



グレートバリアリーフに生息するサンゴ(実験室内);2018年2月13日


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