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日本人とは何か

第42回 日本人と脳(その2)

東京財団政策研究所
上席研究員
小松正之
2018年4月5日

長寿の日本人

「上手に年をとる脳のルール」「Brain Rules for Ageing Well」との本は米国ワシントン大学医学部の分子生物学者ジョン・メディナ博士が執筆した。彼は、ある環境に置いた人と通常の環境に置いた被験者の実験から導きだした結果と分子生物学や脳神経学から統計的な手法を用いて、結論を導きだしている。

日本人の平均寿命は男性で80.98歳で女性は87.14歳で寿命が女性で0.15歳で男性が0.23歳延びている。日本人の主な死亡原因として、癌、心臓病と肺炎と脳卒中が挙げられている。米国人に比べ男性で4歳、女性で6歳も長生きである。

このうち、がんと心疾患と脳血管疾患で亡くなる人の割合は男性で51.38%で女性で45.95%(厚生労働省;平成27年簡易生命表)である。


脳と病気

メディナ博士は、これらの疾患に関して説明している。

彼は、βアミロイドが蓄積されて脳の神経細胞が減少するアルツハイマー認知症とドパミンの不足から手足の震えや動作の緩慢のパーキンソン病などを取り上げる。

その発症を遅らせ、機能の補完にも効果がある方法を記載しており、私たちが普段の生活で対応が可能な方法を紹介している。これらの方法はいかに人生を豊かに、健康的に生き、そのために何をなすべきかを、わかりやすく人生のヒントを提供する。

寿命が延びても、その結果、痴呆症などが人生の後半の長時間を奪うとしたら、長寿のもたらす弊害となるかも知れない。長寿は我々にとっては「恩恵かまたは呪いか」。健康で長生きすれば、病気の治療費や入院費もいらない。


メディナ博士の法則の紹介

メディナ博士の10の法則の第1は他人と優しく付き合い、外に出て多くの人と付き合いなさいと言っている。対話によってあなたの前頭葉が刺激される。また、あなたにとって本当に意味のある5人がいれば、つながりで150人との付き合いが可能になる。

そして最もよい対話は仲の良い人と意見が合わない対話が脳の刺激になるとのことだ。

いつでも学べ。学びに遅いことはない。特に外国語を学ぶことは、自分の使っていない脳を使い、脳への刺激になる。ポーランド出身のローマ教皇ヨハネ・パウロ2世は8か国語を駆使し大変な長命であった。欧州言語は方言であるから、日本人の場合は、文法も単語も文化的歴史的背景も違う言語を習得するので、英語で十分であろう。また、年を取ると語彙数が増えるとも言う。脳の刺激は、脳の血流と神経の伝達系統の伝導を早める。

また、博士はよく考えなさいという。脳の機能には、情報を集積する機能と、集積された情報を引きだして、組み合わせ、思考し意思決定する機能とがあり、脳のいろいろな機能を使うことで、脳の活性化が図られる。

睡眠を6時間から8時間取りなさい。十分に深く眠り、昼のうちに脳にたまった老廃物を夜に浄化促進させて、翌日すっきりと活動できるようにする。脳は寝ている間老廃物の処理をして、翌日の活動に備えるのだそうだ。


決して退職するな。幸福感を持て

仕事を辞めないこと。多くの人は仕事を辞めたら、旅行し、趣味に費やすというが、1年程度後は何もしなくなり、そして健康と脳を害し死を迎える。退職した人の心臓疾患の確率は退職しない人より40%も高い。もし60歳ではなく65歳で退職したら、認知症にかかる確率を15%低めることができる。60歳以降毎年働くと毎年、認知症の確率は3.2%低くなる。彼は「決して退職するな」と。

彼は人生を明るく幸福感(Happiness とEudaimonia )をもって生きることともいう。日本にも「病は気から」とか「笑う門には福来る」とのことわざがある。楽観的な人は悲観的な人に比べて8年間も長生きである。人生に目的、すなわち心満たすものをもって生きることと語る。日本人は長生きである。特に女性はそうである。たぶん各人が地域のため次世代のために、小さいながら自分ができる何かをしているのだと思う。



ジョン・メデイナ著「上手に年をとる脳のルール」


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