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日本人とは何か

第49回 北海道で考えた魚食の崩壊と日本人

東京財団政策研究所
上席研究員
小松正之
2018年9月13日

4時起きのマス定置網漁

久しぶりにじっくりと北海道を訪ねた。今回はとても欲張った。網走、余市、積丹と札幌と函館、南茅部と森である。ところで今回は8月20日から23日までの3泊4日間であったが、毎日朝を早起きした。

21日は朝4時に起き、4時45分から7時まで、網走沿岸の定置網にカラフトマス(地元ではオホーツクマスと呼ぶ)の水揚げを見に行った。新谷哲也網走漁業協同組合長からは、私の早起きを疑問視されたが出かけた。

いつ、こんな機会に恵まれるか知れない。マスは前日240トンの漁獲があって、私が乗船した21日の早朝は100トンであった。値段は前日の300円/キロより良好で348円/キロであった。


富栄養の網走湖からの「アオコ」漁場に広がる

マスの漁場一帯に、網走湖から流れ出る緑色の「アオコ」が広がり、においだけでなく、海面が緑色に染まる。これは富栄養化の象徴で、このアオコが死骸となり、網走市沿岸の海底に蓄積されると、、これを消化するのに酸素が使われ、海が酸素欠乏状態になる。網走湖一帯を取り囲むように農地が広がる。

新谷哲也組合長ら網走漁協の人たちは、革新的な人たちで、網走の海と網走湖を守るために10年以上前から農業者との対話を進め、生態系保全の先進地を視察してきた。しかし、現在はさらなる悪化が明らかである。この地域はホタテガイの地まきの漁業で有名である。この漁場が「アオコ」でホタテガイの生息場として不適な場所となる可能性が大きい。農業サイドに、農薬や肥料の適性使用の強化を求めることである。



網走のマスの小型定置網と「アオコ」 2018年8月著者撮影


番屋の食事のおいしさ

水揚げが終了して、私は定置網の乗組員と同じ番屋で朝食を食べた。マスのカマの塩焼きが出てきた。通常の身の部分もいただいたがカマが格段に、おいしさで勝る。

翌日22日の早朝は、4時に余市のホテルを出て、積丹半島の漁港から出港した。台風の影響で雨が強かったが、風がなかった。1時間弱で積丹の牧場の見える沖についた。7〜8キロのブリがたくさんかかった。それでも平均4.8キロで合計24トン程度という。

この定置の経営者は岩手県釜石市両石の定置漁業会社「泉澤水産」である。山崎漁労長が手際よく指示し12名の乗組員も自分の仕事をテキパキとこなす。水氷の入れ方とブリの鮮度の保持もとてもスムーズであった。漁師は魚を獲ったらあとは野となれ山となれだが、この泉澤水産の乗組員は販売まで心配りが行き届く。日本人のきめ細やかな仕事ぶりを見たような気がした。チームワークが抜群なところも、日本人の特性であろうか。見ていてい清々しい。


何物にも代えがたい漁船上の朝ご飯

ところで、山崎漁労長に朝食を食べたいとお願いした。船か番屋で食べる朝食は楽しみであった。漁港での水揚げが終了し、定置漁船の甲板上に、食事が並べられた。ブリの叩きの葱和え、カワハギの叩きに葱和え、イカの腸煮、イクラの醤油漬け、ゴマサバの水煮、サケの味噌汁と暖かいご飯であった。すべて当日漁獲されたものか、前日のものであった。美味しいという言葉をはるかに越えた。絶品だ。都会暮らしの私にはたいそうありがたい朝食であった。山崎漁労長も都会の料理は食べられないという。私も子供の頃から中学・高校の時代にかけて、生まれ故郷の広田町でこんな料理だけを食べていて、その価値が分からなかった時代を思い出した。その頃は陸前高田や大船渡市街に出かけて、かつ丼やカレーライスがごちそうと思ったものだ。


魚食民族日本人の魚食の減少

日本人は魚食民族だったが過去20年で急速に魚貝類の消費を減らしている。一人40キロから24キロに40%も減少した。この漁業の不振状態ではさらに日本人の魚食が減少するとみられる。魚食で日本人の肉体と精神の安定を賄ってきたが、そうなると将来の日本人は肉体的にも精神の作用の面でもこれまでの日本人とは全く違ってしまうのであろうか。



積丹沖の大型定置網乗組員山崎漁労長(左2人目)の皆さんと筆者(右2人目)2018年8月撮影


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