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日本人とは何か

連載第79回 コロナウイルスと科学的根拠の重要性

一般社団法人生態系総合研究所
代表理事 小松正之
2020年6月29日

2年間、経済は戻らない

6月24日IMF(世界通貨基金)は2020年の世界経済成長見通しを発表した。これは、4月に発表した見通しをさらに下方修正するもので世界の見通しは-4.9%とへさらに下方修正した。スペイン、イタリアは-12.8%で、ユーロ圏はその落ち込みが大きい。米国が8%で日本は-5.8%であった。ヒトとの距離を置くための生産性低下や第2波を警戒する人々の外出控えを理由としている2021年の成長率も5.4%にとどまる。2年連続2019年度以下である。第2波が来ればさらに下方修正されよう。

水産物流通量で見ると対前年比は最低時の40%減から10%減まで回復したが、これからの回復は鈍いであろう。


科学的データが基本

これをコロナウイルス以前に戻すことは至難の業であろう。しかしながら、WHO(世界保健機関)も日本の新型コロナウィルス感染症対策専門家会議も述べ、かつ英エコノミスト誌が強調した点は科学的調査とデータの重要性である。日本はPCR検査も抗体検査も世界各国に比べて極端に少なく、これでは対策の範囲が不必要に大規模になる。日本全土に緊急事態宣言を出して、ヒトの行動を制約し、経済的な損害を大きくしたとみられる。WHOも、データとそれらに基づく監視(サーベイランス)と検疫がしっかりしていれば不必要に過大な対策を回避し、効果的な対策を立てることができると述べている。これが基本で重要であると強調する。

科学とデータの重要性は、漁業・水産資源を守るための資源管理でも重要だが、日本の漁業者は漁獲データを提供したがらず、行政も自民党もそれを容認してきた。だから、2019年の漁業生産量は416.3万トンで大幅に減少した。1955年(昭和30年)以来最低で、その当時でも490.7万トンもあった。


地球ではウイルスは先住者、経済成長という名の環境破壊

人間にとっては、人類の生存のための指標・目標を経済すなわちGDPで測るのではなく、新たな目標を設定することが重要になってくる。

人間の環境破壊がウイルスと人間との関係を変え、宿主の蝙蝠とセンザンコウなどの哺乳類が人間に近づいた。生物多様性の宝庫であるアマゾンなどの熱帯雨林の開発や、南極大陸と北極の氷の融解、海面の上昇、地球規模での農産物生産量の減少、漁業資源の悪化、豪州やサハラ砂漠での乾燥化の進行、大型台風やハリケーンの発生など人類の居住環境が悪化の一歩をたどる。

今後地球が温暖化するとデング熱、マラリアが発生し、地球環境・陸海生態系と生物多様性の保護が将来の大切な目標となろう。人間の生活様式をも変え、人間のあるべき姿まで変わる。


30億年前にウイルスは海で誕生

ウイルスは海洋で30億年前に誕生した。現代人類の祖先が約20万年前に誕生した。ウイルスは細胞を持たず、宿主の外にいれば死滅する。

海洋には膨大な量のウイルスが存在する。1031個(1012で1兆である。)のウイルスが存在する。そして、海洋生態系の重要な要素を担っている。海洋の細菌、プランクトン、海藻そして、魚類にはウイルスが寄生する。ウイルスは生態系の物質や栄養の循環に貢献する。すなわち、バクテリアとプランクトンなどを分解し、栄養と物質循環に必要不可欠な役割を果たす。

日本近海のクロマグロ、ヒラメ、アワビやエビなどにもウイルスが寄生する。現時点でこれらのウイルスで人間に害を及ぼすものはない。



日本のクロマグロの養殖風景 2019年9月著者撮影


日本の科学調査に最小のウイルスから最大のクジラまで

ウイルスと人類と海洋水産資源を通じた関係も、変化しよう。魚類養殖ではクロマグロなどの魚類の密度が高まり、魚同士が密接な環境になるため、ウイルスの繁殖に好都合になる。

海洋の二酸化炭素の溶解量が増加し、酸素の溶解量が減少し、生物量は減少する。宿主生物の植物プラントンや海藻や魚類の生物資源量が減少する(2019年9月国連IPCC報告書)と新たな宿主との関係を見出す。

海洋のウイルスに変異や特別の変化が起こることが考えられる。だから、常に海洋生態系を調査・研究することである。その調査・研究には海洋生態系のウイルスから最大の海産哺乳動物のクジラまで、海洋国家の日本としての責務としたい。


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