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太平洋を取り巻く国々と私

第13回 ラホヤの米科学研究所

アジア成長研究所
客員主席研究員 小松正之
2015年3月5日
サンジエゴ郊外のリゾート地

サンジエゴの郊外にラホヤ(スペイン語で宝石の意味)という人口42000人のリゾート地で、学園研究都市がある。ここは高級住宅街、高級レストラン宝石店などもあり、サーフィン、水泳やダイビングなどの海洋性のスポーツも盛んである。しかしながら大衆的なメキシコ料理やシ-フードレストランも多い。

2014年の5月に久しぶりで米政府大気海洋庁(NOAA)の南西漁業科学センター(研究所)(写真)があるラホヤを訪ねた。 私はこのラホヤの街が大好きだった。おとぎ話に出てくるような海辺の街で、私はここに白い壁や赤青黄色の壁がきれいな街との印象を持っていた。

この街を私が最初に訪れたのは1986年の秋のことである。日本の母船式さけます漁業の船団が 米国の200カイリ内のアリューシャン列島沖で操業しており、其処に 入漁して操業するためには米の海産動物保護法に基づくイルカやオットセイの混獲許可証が必要であった。この許可証を取るためには米国商務省の行政裁判所で証言をし商務省から許可を得なければならない。その証言の事前の準備を行うのが目的でラホヤを訪問した。

その後も水産庁時代には捕鯨やマグロの件でこの研究所を何度か訪問し、米国際捕鯨委員会次席代表のティルマン博士、鯨類科学者ライリー博士やマグロ研究者の日系のサカガワ博士とよく対談した。


恵まれた環境と研究施設

南西漁業科学研究所が海の目の前の断崖絶壁の真上に立っていた。本当に景色が良い。こんな環境ならさぞかし、研究も捗る思ったものである。

海沿いのレストランで、シーフードを良く堪能した。しかし昨年の5月に訪れたときには、私が良く通ったレストランはもう既になかった。20年も前のことである。街の雰囲気も変わっていた。

南西漁業科学研究所は、米政府海洋大気庁の研究機関の一部門であるが、この機関の研究対象は、カリフォルニア海流の水系、陸地から流入する水系(Watershed)、それに東部太平洋と南南極海の資源を対象とする。もともとこの研究機関は1914年にカリフォルニア沖のマイワシとマグロ類の研究のために設立されたが、現在では幅広い研究がおこなわれており、持続的水産資源の利用のための研究助言を与える。このため、生物学者、海洋学者、海洋エンジニア、資源モデルの専門家らいる。


浸食を避け海から後退し建設

新研究所は、ラホヤ湾の形状に適合するように建設されており、2013年の8月27日に開所式が行われた。旧研究所はラホヤ湾の断崖絶壁の上に位置していた。長年の波浪による浸食で崖が削り取られてしまったからである。日本であれば、消波ブロックなどを入れて海洋の浸食を防ぐのが一般的であるが、米国の場合は、浸食という自然の力には逆らわず、浸食で建物の存在が危うくなれば、建物を後ろに後退させる方法を取り、人間を自然に調和させる。新しい南西漁業科学研究所の建設はその典型的なケースであった。新研究所は旧研究所から奥まった、海岸から少し離れたところに建設された。しかし建物は、自然の景観を阻害しないように、ラホヤ湾と調和するように造られている。全体の面積は124,000平方フィートで、7つの研究機関が入居し、合計で275名の研究者や事務局員が働く。また巨大な水槽も設置され、水圧実験が各種できるようになっている。この研究機関の敷地に隣接して、世界的に有名なカリフォルニア大学サンジエゴ校のスクリプス・海洋研究所がある。これに比べ、日本の水産研究所は海の研究が身近に行えるところに立地していない。水産総合研究センターの本部などは横浜のみなとみらいの研究とはほど遠いところに立地する。米東海岸のウッズホール海洋研究所もそうであるが、良好な研究施設と環境と優秀な数多くの研究者にめぐれれば米政府の水産・海洋行政もうまくいくであろう。本当にうらやましい限りである。


米南西漁業科学研究所 手前が旧研究所と奥が新研究所

写真 米南西漁業科学研究所 手前が旧研究所と奥が新研究所


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